単純極まりないお話ながら、いくらでも深読みできる内容。ポニョの父親がどう
見ても人間なのはなぜなのか、津波被害の詳細はどうなのか、父親が作っている命の
水とはなんなのか。全編謎に満ちているが、説明はあえて放棄されている。
これが何ともおさまりが悪く、押し寄せる波やあふれる古代魚、落ちてくる月、ポニョ
が過剰反応する謎のトンネル、老人ホームの人々など、死をイメージさせる要素が
あまりに多すぎて、個人的には異様な鑑賞後感を味わう羽目になった。「神経症の
時代に向けて作った」というがむしろこの作品こそがパラノイア的で気味が悪い。
絵本調のパステルカラーによる妙に明るい雰囲気とのギャップがその思いに輪をかける。
http://news.livedoor.com/article/detail/3721668/