つまり、ビル・ゲイツは「人類の歴史始まって以来初めて、土地・金・石油などの天然資源ではなく、知的プロセスをコントロールすることより世界一の金持ちになった」という点で特異な存在だというのだ。
確かに考えてみると、ビル・ゲイツの一番の功績はWindowsやOfficeを作ったことなんかではなく、それまではハードウェアのおまけ同然に配布されていたソフトウェアがビジネスになるということを身を持って証明したこと。それゆえに「帝国」とまで呼ばれるまでにマイクロソフトを大きくすることが出来たし、世界一の金持ちにもなれたのだ。
しかし、そのビル・ゲイツの引退する2008年の状況を見ると、オープンソースの波は主流になりつつあるし、Googleは明らかに「パケージ・ソフトウェアの販売ビジネス」を破壊に来ている。純粋なソフトウェア・ビジネスの将来は必ずしも明るくない。
90年代中頃のネットスケープの誕生から始まった「パッケージ・ソフトウェア・ビジネスの終焉」。それがとうとう最終章に入ろうと言う段階でのビル・ゲイツの引退はなんとも象徴的だ。