TV報道を見て、世間的にいくつかの誤解があることに気がついた。最初のiPhoneが「世界的なヒット商品」だという思いこみである。たとえば、TVや新聞などで「全世界で600万台も売れたiPhoneが日本で発売」といった表現がされることがある。600万台というのは絶対値としては大きな数字だし、ゲームコンソールのWiiが、今年5月に国内で達成したのも、この数字である。
しかし、携帯電話は全世界で1年間に11億台も出荷される商品なのである。現在、全世界で携帯電話の契約者数は33億。人類の2人に1人が携帯電話を持っている勘定になる。市場としては、PCやゲームコンソールとは比べものにならないぐらい大きいのである。
その中で600万台は、わずか0.5%にしか過ぎない。ちなみに、日本国内では、年間に5,000万台ぐらい携帯電話が出荷されており、出荷量1位のシャープは20%程度の1,000万台強を年間に出荷する。単機種では、100万台でヒットといわれる国内市場だが、3キャリアが年3回、大量の新機種を発表しているため、1メーカーが複数の機種を同時に発売しているから、1機種あたりの出荷台数は当然小さくなる。
また、iPhoneの販売台数の大半は米国内のもので、決して「世界中で売れた」わけではない。iPhone 2Gは、米国外では、フランス、ドイツ、イギリスなどで販売されたが、2007年末の段階で、iPhoneの総出荷台数は、375万台、この時点で、米国外の出荷台数は、35万台とされている。つまり、残り340万台は、米国内で販売されたものだ。多少の海外流出はあるだろうが、少なくとも300万台以上、割合にして総出荷量の8割以上は、米国での販売によるものだ。