「iPhoneはウェブじゃない」、モバイルFirefoxが目指すもの − @IT - 0 views
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元アップルの社員でアップル製品の愛用者でもあるリリー氏だが、iPhoneを例にオープンであることの重要性を訴える。 「注意しておかないと、すぐにプロプライエタリな技術にロックインされる。ビデオやモバイルは、その好例だ。iPhoneはライセンス上、FirefoxもサンのJavaも、アドビのFlashも搭載できない。ライセンスの問題で、われわれはアップルのSDKを使えない。アップルは、こうした制限はセキュリティやパフォーマンス上の理由だと説明しているが、本当はビジネス上の理由だと私は思っている」。 「私はiPhoneを使っているし、とても気に入っているが、これはウェブではない。App Storeはアップルという単一の企業が管理・運営していくもので、どのアプリケーションを流通させるかはアップルが決める。これはオープンとはいえない。インターネットでアプリケーションを公開するために、誰かに頼んだり、ライセンス料を払ったり、あるいは気兼ねすることなどない。ただ単にアプリケーションを作って配布するだけだ」。 同様の理由で、リリー氏は日本のモバイルインターネットの世界も「インターネットではない」と指摘する。
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2008年3月3日、マイクロソフトのInternet Explorer開発チームは、次期バージョンのIE8で、デフォルトのレンダリングモードを、後方互換性よりも標準準拠を重視した新しいものとすると発表した。各Webブラウザの「標準サポート」は進んでいるように見える。 こうした見方にリリー氏は懐疑的だ。 「標準にはいろいろあるし、実装も異なる。例えばモジラではCanvasやSVGはサポートすべき標準だと見なしているが、IEは違う。グレーゾーンも多い」。 CanvasはWebKitのコンポーネントとして開発された2次元グラフィック向けの規格で、JavaScriptやHTMLタグでグラフィック要素を生成したり操作したりできる(モジラのCanvasの日本語入門記事)。WebKit(Safari)に続いてFirefoxやOperaがCanvasをサポートしているが、IEはCanvasをサポートしていない。2次元ベクトルグラフィック向けのマークアップ言語、SVG(Scalable Vector Graphics)についても同様だ。CanvasはW3Cで策定作業が進められているHTML5に含まれている。SVGは2001年にW3Cで標準仕様として勧告されている。
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shiretokoではACID3への対応や、CSSサポートの改善、ダウンローダブル・フォントのサポートなどを予定している。Firefox 3で大幅に高速化されたJavaScriptエンジンのパフォーマンスについても、まだまだ改善の余地はあるという。 「JavaScriptはフル機能を備えたプログラミング言語で、日々、洗練されたアプリケーションが作成されている。まだパフォーマンスを改善するためにできることはたくさんある。今後は暗号処理など重たい計算をJavaScriptで行うなど、もっと多様なアプリケーションが登場するだろう」
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モバイルや組み込み向けでは、Safariで使われているレンダリングエンジンのWebKitが存在感を増していて、FirefoxおよびそのレンダリングエンジンであるGeckoは、遅れを取っているように見える。リリー氏はモバイル版FirefoxのターゲットとなるOSとして真っ先にLinuxを挙げるが、LiMoファウンデーションでも、Androidでも、そのソフトウェアスタックにはWebKitが含まれている。 WebKitは標準技術との互換性の高さや高速なレンダリング、フットプリントの小ささなどから“インターネット・コンポーネント”として多くのオープンソースプロジェクトに取り込まれている。iPhoneでもWebKitを採用するなど、開発者の注目を集めているのは間違いない。 分類からすればGeckoもWebKitもHTMLやCSSのレンダリングとJavaScriptの処理系を備えたエンジンだが、GeckoではさらにクロスプラットフォームでGUIを作るためのXUL(XML User Interface Language)が含まれるなど、Firefoxと不可分だ。単にHTMLを処理したいだけであれば、Geckoよりも、よりコンパクトなWebKitを選ぶのは自然だ。
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ノキアのLinuxベースの最新のインターネット端末「Nokia 770/800」にはFirefoxが搭載されている。こうした例はあるが、すでにモバイル端末に搭載されて出回っているWebKitやOperaとは数の点で比較にならない。モバイル版Firefoxが入り込む余地はあるのだろうか? 「確かにWebアプリケーションの一部や、ウィジェットのような小さなアプリケーションは、直接レンダリングエンジンの上で動作するようになるかもしれない。しかし、単なるレンダリングエンジンとWebブラウザは違う」。 「モバイル端末がいくら普及しても、より一般的な用途に使えるPCがなくならないのと同様に、WebKitのようなレンダリングエンジンが普及しても、より汎用的に使えるWebブラウザというものの必要性はなくならない」。
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リリー氏が指摘するのは、Webブラウザを使ったユーザー体験を左右するのはレンダリングエンジンではなく、Webブラウザまで含めたUIだということだ。 Firefox 3で搭載されたスマートロケーションバー 例えばFirefox 3では「スマートロケーションバー」という機能が新たに搭載されている。URL欄に文字をタイプすると、過去3ヶ月以内に閲覧したページのタイトル、URL、ブックマークに付けられたタグなどを一括してインクリメンタルサーチして、リストアップする。頻繁(ひんぱん)に訪れるWebサイトは上位に現れるため、頻繁に訪れるWebサイトはブックマークする必要がないほどだ。 「Firefox 3をリリースした直後には、『URLバーを壊しやがって』とネガティブな反応をするユーザーもブログで見受けられた。でも、そうした反応は最初だけ。1週間使ってみてください、きっと元のWebブラウザに戻れなくなりますから」(リリー氏)。
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ユーザーが自由に機能を拡張できる「アドオン」も、WebブラウザとしてのFirefoxの人気の秘密だという。 「eBay用アドオンやブログ投稿用アドオン、あるいは開発者向けで人気のある開発ツールのFirebugなど、特定のアドオンが理由でFirefoxに固執するユーザーも多い。現在、約5000のアドオンがあり、すでにそのうち80%程度がFirefox 3と互換性がある」。